腰椎分離症のリハビリをしているのに、なぜ痛みが取れない?|「骨」だけではなく身体の使い方を見る理由

こんにちは。十勝・帯広でATHBASE整体院を運営している、理学療法士の河江将司です。
腰椎分離症と診断され、整形外科やリハビリに通っているお子さんの保護者から、
「リハビリを続けているのに、まだ腰が痛い」
「少し良くなったけど、練習するとまた痛くなる」
「病院では大丈夫と言われたけど、本人が怖がっている」
というご相談をいただくことがあります。
不安がある中で、当院を頼ってご相談いただきありがとうございます。
こうした場合、
「本当にプレーして大丈夫?もっと休ませた方がいい?」
「ずっと痛いまま?」と考えてしまうかもしれません。
もちろん、腰椎分離症そのものの状態を確認することは非常に大切です。
でも、それだけでは説明できないケースもあります。
今回は、私自身の理学療法士、そしてスポーツトレーナーの経験から
「腰椎分離症のリハビリをしているのに、なぜ痛みが続くのか?」
について考えてみます。
まず確認したいのは「分離症そのものの状態」
腰椎分離症は、腰椎の後方にある「椎弓」の一部に生じる疲労骨折です。
そのため、まず大切なのは、
現在、腰椎の病変がどのような状態なのか
を確認することです。
初期なのか。
進行しているのか。
骨癒合を目指せる状態なのか。
こうした状態によって、必要な治療やスポーツへの戻し方は変わります。
そのため、腰痛が長く続いているなど腰椎分離症が疑われる場合、まず整形外科などの医療機関で適切な評価を受けることが大切です。
では、なぜリハビリをしても痛みが残るのでしょうか?
ここからが今回の本題です。
腰の痛みが続いているからといって、
「骨が治っていない」
とは限りません。
もちろん、骨の状態を確認することは重要です。
しかし、スポーツをするときには腰だけで動いているわけではありません。
例えば、
・股関節
・胸椎(背中)
・足関節
・体幹
・片脚で身体を支える能力
など、全身を使って動きます。
そのため、
腰椎分離症の治療では「病変」と「身体の機能」を分けて考えることが大切
だと私は考えています。
「骨が治る」と「身体が戻る」は別の話
これは腰椎分離症を考えるうえで、とても重要なポイントです。
2022年に発表された、201人の思春期アスリートを対象とした研究があります。
この研究では、スポーツ活動の中止、コルセットなどの保存療法を行った後、リハビリテーションを実施しています。
結果として、
98%の選手がスポーツまたは同等レベルの活動へ復帰
しました。
一方で、CTで確認された骨癒合は49.8%でした。
もちろん、
「骨がくっつかなくてもスポーツをしていい」
という意味ではありません。
病変の状態を確認しながら、医師の判断のもとで復帰する必要があります。
ただ、この研究からも、
「骨の状態」と「スポーツ復帰できる状態」は同じものではない
ということは考えておく必要があります。
最近の研究では「早くからリハビリ」という考え方も
さらに興味深い研究があります。
2026年に発表された多施設ランダム化比較試験では、64人の思春期アスリートを対象に、
診断後すぐに理学療法(リハビリ)を開始するグループ
と、
まず休んで、症状が落ち着いてから理学療法を開始するグループ
を比較しました。
早期から理学療法を開始したグループでは、1か月時点の痛みや機能がより改善し、スポーツ復帰までの期間も短く、12か月間の腰痛再発も少なかったと報告されています。
ただし、
「腰椎分離症になったら、すぐ運動すればいい」
という単純な話ではありません。
研究で行われた理学療法も、痛みや機能に合わせて段階的に進められています。
つまり大切なのは、
休むか、動くかの二択ではなく、「今の状態に合わせて、どのくらいの負荷をかけるか」
ということです。
痛みが続くとき、「腰」だけを見ていないか?
例えば、腰椎分離症のリハビリをしていて、
「腹筋を鍛えましょう」
「体幹を鍛えましょう」
と言われることがあります。
もちろん体幹機能は重要です。
でも、
体幹を鍛えるだけで、本当に問題が解決するのでしょうか?
例えば、
股関節がうまく動かない。
↓
その分、腰が動く。
↓
走る・投げる・蹴る・ジャンプする。
↓
腰への負担が増える。
ということが起きているかもしれません。
あるいは、
片脚で身体を支えるのが苦手。
↓
着地や切り返しで身体が崩れる。
↓
腰で身体を支えようとする。
ということも考えられます。
だから私は、
「腰椎分離症だから腰を見る」だけでは不十分
だと考えています。
2024年の研究でも「復帰までの期間」は一つの要素だけでは決まらない
2024年には、9〜18歳の若年アスリート137人を対象に、保存療法後のスポーツ復帰までの期間に関係する要因を調べた研究が発表されています。
対象者は、スポーツ活動の中止、コルセット、治療的運動などを組み合わせた保存療法を受けていました。
研究では、治療への取り組み方や病変の状態など、複数の要因がスポーツ復帰までの期間に関係していました。
つまり、
「この筋肉が硬いから治らない」
と一つの原因だけで説明するのは難しいということです。
腰椎分離症からの復帰には、
病変の状態 × 痛み × 身体機能 × リハビリへの取り組み × 競技負荷
など、さまざまな要素が関係します。
ATHBASE整体院では「なぜ痛みが残っているのか」を考える
当院では、腰椎分離症と診断された方に対して、いきなり腰を施術するわけではありません。
まず、「現在、医療機関ではどのような診断・治療を受けているのか」を確認します。
そのうえで、
・股関節の動き
・胸椎の動き
・足関節の動き
・体幹機能
・片脚で身体を支える能力
・スクワットなどの基本動作
・ジャンプや着地
・走る、止まる、切り返す動作
などを確認します。
そして、「なぜ、腰に負担が集まっているのか?」を考えます。
もちろん、身体を評価したからといって、
「ここが原因です」と簡単に断定できるものではありません。
腰椎分離症は、さまざまな要因が重なって起こるものだからです。
だからこそ、一人ひとりの身体と動きを見ながら考えることを大切にしています。
「痛みが取れない=治っていない」とは限らない
腰椎分離症のリハビリをしているのに痛みが残っている。
そんなときは、「まだ骨が治っていないのかな」と不安になると思います。
しかし、痛みの原因も一つとは限りません。
病変そのものの状態。
身体の使い方。
運動量。
復帰のタイミング。
心理的な不安。
さまざまな要素が関係する可能性があります。
だからこそ、
「もっと休む」
「もっと筋トレする」
という一つの方法だけに頼るのではなく、
今の状態を一度整理してみることが大切だと思います。
こんな場合は、一度身体をチェックしてみてもいいかもしれません
例えば、
☑ リハビリを続けているのに痛みが続いている
☑ 練習をすると腰痛が繰り返す
☑ 痛みは減ったけど、動くのが怖い
☑ 「復帰していい」と言われたけど不安
☑ 復帰後の再発が心配
☑ 片脚立ちやスクワットで左右差がある
☑ ジャンプや着地が不安定
このような場合は、
「腰椎分離症が治っているか」だけではなく、「スポーツをする身体として準備できているか」
という視点で一度確認してみるのも一つの方法です。
ATHBASE整体院が目指しているのは「復帰した後」です
腰椎分離症の治療で、一番大切なのは、
「いつ練習に戻れるか」
だけではないと思っています。
もちろん、早く復帰したい。
それは当然です。
でも、
復帰する。
↓
また痛くなる。
↓
また休む。
という繰り返しになってしまったら、選手にとっては大きな負担になります。
だからこそATHBASE整体院では、
「復帰すること」だけではなく、「復帰した後もスポーツを続けられる身体」を考えたい。
そう考えています。
まとめ
腰椎分離症のリハビリをしているのに痛みが続く。
そんなとき、
「骨がまだ治っていない」
だけで原因を考えるのではなく、
病変の状態と、身体の機能・動きの両方を見ること
が大切です。
そして現在の研究では、思春期アスリートの腰椎分離症に対して、状態に合わせた理学療法を早期から行うことが、痛みや機能、スポーツ復帰に良い影響を与える可能性も示されています。
ただし、腰椎分離症の診断や骨癒合の確認、スポーツ復帰の許可については、まず整形外科などの医療機関で適切な評価を受けることが大切です。
そのうえで、
「復帰するのが少し不安」
「リハビリをしているけれど、なかなか良くならない」
という方は、一度身体の動きをチェックしてみてください。
ATHBASE整体院では、医療機関での診断・治療方針を尊重しながら、スポーツ復帰に向けた身体機能や動作を評価し、一人ひとりに合わせた身体づくりをサポートしています。
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参考文献
- Selhorst M, et al. Immediate functional progression program in adolescent athletes with a spondylolysis. Physical Therapy in Sport. 2021.
- Choi JH, Ochoa JK, Lubinus A, et al. Management of lumbar spondylolysis in the adolescent athlete: a review of over 200 cases. The Spine Journal. 2022;22(10):1628-1633.
- Kasamasu T, Ishida Y, Sato M, et al. Rates of Return to Sports and Recurrence in Pediatric Athletes after Conservative Treatment for Lumbar Spondylolysis. Spine Surgery and Related Research. 2022;6(5):540-544.
- Tsukada M, Takiuchi T, Ichinoseki-Sekine N. Factors associated with return to play following conservative treatment for lumbar spondylolysis among young athletes. Journal of Bodywork & Movement Therapies. 2024;37:51-56.
- Immediate physical therapy is beneficial for adolescent athletes with active lumbar spondylolysis: a multicentre randomised trial. British Journal of Sports Medicine. 2026.



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